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神話の力

神話の力 神話の力
ジョーゼフ キャンベル ビル モイヤーズ Joseph Campbell
早川書房 1992-07
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もしもお墓に一緒に入れて欲しい本を1冊選ぶとしたら・・・優柔な私は迷ってしまいますが、必ずそのトップリストに入るのが、ジョゼフ=キャンベルのこの1冊です。偉大な神話学者にして、優雅なる語り部、そして、世界中の神話と私たち現代人を、集合意識のレベルで結びつける導き手であったジョゼフーキャンベルの、晩年の対談集です。

私たちが小さい頃から読んできた優れた絵本、映画やアニメ、私たちに勇気を与え生きる方向を見失った時に魂のレベルで後押ししてくれる英雄達の物語は、必ずと言っていいほど神話性を備えています。そして、優れた書き手、脚本家、監督はそれを知っています。

神話とは、キャンベルの言葉を使えば私たちの「根源的な問いかけに答えるもの」です。古今東西の神話のは、人類の共通の深い疑問 ー私たちは何者で、どこに向かっているのかー という疑問に対する答えが、それぞれの地域で生きた人々の世界観に彩られて描かれています。そして、この根源的な疑問を解く鍵は、地域色を抜いて残る核心の部分だとキャンベルは言います。私達人類が、そして一人ひとりが、「ああ!そうだったのか(神性顕現体験)!」と目を見開く準備ができた時、神話は私達に膨大な情報を与え、答えへと導くのだと。数学者にとってのリーマン予想(素数のなぞを使って生命の暗号を読み解く)、アインシュタインとすべての科学者にとっての統一理論(宇宙の全てを統べている法則)のように。

科学が発展し、量子物理学や分子生物学といった最先端の化学が、目に見えないけれど、確かに存在するもう一つの次元を浮かび上がらせようとしたり、DNAの秘密を解き明かしたりすることで、民族や部族、宗教、国家が争っていることの無意味さ、スケールの小ささを実感できる時代。そうです、私達は21世紀と言う美しい時代に住んでいるのです。

そして、今こそ、私達一人ひとりが新しい神話の担い手であることを、キャンベルは繰り返し伝えています。神話的に生きることが、時に厳しい通過儀礼を通ること、それは死をも賭けた(時には比喩的な自我の死のみならず、物理的な死も含めて)冒険だとしても、私たちはそうした冒険なくして、己の生を全うすることは出来ないと、この知の巨人は私たちに優しく、そして揺ぎ無い口調で語りかけます。

それはもしかしたら、国家も同じなのかもしれません。この国は今、どの立場の誰がどの角度から見ても、暗礁に乗り上げています。まるで、「果てしない物語」(ミヒャエル・エンデ)で冒険を始めたバスティアンが自分を見失い、何者かが分からなくなってしまった場面のように。明治・大正・昭和を越えて先延ばしして来た、真の自我(アイデンティティ)に目覚めるための通過儀礼を、今、この国は通過するところなのかもしれません。

今私たちに必要なのは既成の主義主張や固定概念を一度置いて、古今東西の私たちの遠い遠い先祖達が神話と言う形で残してくれた羅針盤を片手に、新しい未知の、統一された神話を作る担い手であるという意識と自覚をもう片手に、進む方向を一人ひとりが確認してみることなのかもしれません。

この混迷した、混沌の、でも素晴らしい可能性を秘めた21世紀に生きるすべての人に手に取っていただきたい、名著中の名著です。

やはりお墓にもっていくのは、この1冊に決まりっ(笑)

ALOHA MAHALO

 

 

 

 

 

 

 

 

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