すてきなおばあさんのスタイルブック 田村セツコ WAVE出版 2013-03-25 売り上げランキング : 75751Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ああ、なんて素敵な本に出会ってしまったんだろう。うれしいため息がでます。
私の子どものころは、なかよし、りぼんといった少女漫画全盛期。乙女心を心憎いまでにくすぐるストーリー、毎月のふろくやそれぞれの漫画家が見せてくれる、華麗なるファッション…。
なかでも、表紙やおしゃれブックなどで、おしゃれでチャーミングな女の子を書き続けて、私たちの夢や希望をわくわく膨らませてくれる田村セツコさんの挿絵は当時ダントツ人気でしたが、そんなセツコさんがなんともう75歳になれていて、それはそれは素敵に年齢を重ねて、素敵なおばあさんになられていたこと。嬉しい!素敵!ありがとう!と飛び上がってしまいました。
「子どものころ、おばあさんは、はかり知れない力を秘めた、奥深い知恵のかたまりのような人だと思っていました。なんでも知っていて、どんなことにもあわてず対処できる魔法を知っている人のように思えたのです」(本文より)に始まる本文は、肩肘をはることなく、でも、現実を独自の感覚でしっかり受け止め、その中でも夢やときめきを育て続けて、ご自身が魔法使いのような素敵なおばあさんになられたセツコさんの魅力が存分に伝わってきます。
最初の挿絵についている「あら バアバって だれのことかしら?」というコメントも、お茶目でおしゃれ(笑)。
日々できないことが増えていく現実を、毎瞬が冒険の「不思議な国のアリス」になぞらえてワンダーランドと捉えて、「サーカス日記」をつけて楽しんでしまおうという遊び心で楽しむセツコさん。そのおしゃれ観や工夫の数々、生活のあれこれに始まり、物語に出てくる素敵なおばあさん、現実の素敵なおばあさんを、セツコさんテイストにのせて、可愛いイラスト満載で紹介してくれます。
こんな素敵で、おしゃれで、乙女心を抱いたまま、チャーミングに年齢を重ねていけるんだ…りぼんやなかよしで私たちをリードしてくれたセツコさんは、変わらずに私たちをリードしてくれる素敵なお手本です!
本文中に紹介されている、「もう一度人生をやり直せたら」というナディーヌ・ステアさんという方が85歳でかかれたという詩が、あまりに素敵で、じーんとしたので、最後にご紹介します。
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「もう一度人生をやり直せたら」
今度は思いきって もっと多くの失敗をしてみよう
リラックスして もっとしなやかになろう
この人生での私よりも もっとおバカさんになろう
ものごとをシリアスにとることは より少なくしよう
より多くのチャンスととらえよう
もっとたくさんの山に登り
もっとたくさんの川で泳ごう
私は寒暖計や湯たんぽや レインコートなしでは
どこへも行けないタイプだけど
もしもやり直せたら もっと身軽に旅をしよう
春はより早く裸足になり
秋はより遅くまでそのままでいよう
もっと踊って
もっとメリー・ゴーランドに乗って
もっとたくさんのデイジーを摘もう
41歳でこの詩に出会えたのは本当に幸福で幸運。ナディーヌさんに勇気を貰い、「これらの人生を」というタイトルで、自分自身に向けた詩を書き始めています。
是非手に取っていただきたい魔法の1冊です。