女の子脳 男の子脳―神経科学から見る子どもの育て方 リーズ・エリオット 竹田 円 日本放送出版協会 2010-11-02 売り上げランキング : 134755 |
いつも生き生きしている人、話しているとどんどん世界が広がっていく人、限界を感じさせない人っていますよね。そんな人と出会ったとき、ワクワクする憧れの気持ちと同時に、何がこの人をこんなに素敵にしているんだろう、と観察します。すると、多くの場合、こんなクオリティーをもった人だな、と気がつきます。それは、「自分の性質を理解し受け入れている。けれどそれを言い訳にせず、それにまつわる固定概念から自由に行動する人」。つまりクリエイティブな風を身にまとって軽やかに生きている人です。
そんなスタンス、大人自身がクリエイティブな頭を持って、子育てをもっともっと楽しみませんか、子どもたちに無限の可能性の扉をプレゼントしませんか?科学的な根拠や実験に基づいた緻密な文章で、本書の著者は私たちを21世紀の子育てに誘います。
「男の子脳・女の子脳」という、若干ショッキングなタイトルで、一見「男は火星から、女は金星から」的な、男女をステレオタイプ化する本かと思わせておいて、中身はその期待を嬉しく裏切っていきます。例えば、胎内にいるとき、また出生後に男の子があびるテストステロンは男の子の行動やおもちゃ選びに影響を与えるのは数値的には事実(それもほんの数%!!)。でも、それを助長しているのは、大人のステレオタイプ化した見方による偏った励ましや期待によるものによるところが大きいことを著者は多くの実験結果から説明します。
男の子、女の子(そして、様々なタイプの性を持つ人)が、自分のもつ性の特徴(ほんの少しの差ではあるけれど)を理解し、受け入れるのを助ける。そして、同時に、大人自身が持つ、そこに付随する固定概念をできるだけ精査し、そこから自由になり、こどもたちの持つ可能性を自由に、性差を超えて発揮できるように育ていきませんか?と自身も3人の男女を育てた経験を紹介しながら、各章ごとに21世紀的な子育てのヒントを与えてくれます。
サイエンスものを読むのが大好きですが、「ここまで分かった」と言う内容の本よりも、「ここまでは分かってるけれど、実際はまだまだ分かっていない=まだまだ無限の可能性とミステリーに、私たちは包まれている」と言うことを率直に伝えてくれる科学者やジャーナリストの本は、また格別にエキサイティングです。そして、もちろん本書はその中の一つ。
子育てや教育が、親や教育者、保育者自身の固定概念を外し、そこから自由になるチャンスと捉えることができたとしたら、21世紀は確実に新しく、クリエイティブな時代になるだろうな・・・久しぶりにワクワクして眠れなくなった本です。
分厚いので躊躇してしまうかもしれませんが、各章のまとめがわかりやすいので、そこだけでも必見です。是非手に取ってみて下さい♪